代表取締役社長
山口 信二
当社は洋菓子の製造・販売や喫茶・レストラン事業を展開し、永続的に社会に貢献できる企業であることを基本姿勢として努力を重ねてまいりました。お蔭様で、当社は今年で創立94年を迎えます。これもひとえに皆様方のお力添えと深く感謝いたしております。
当社の経営理念『Be Prime,Be Sweet.』は、お客様の笑顔のために、安心・安全な品質、最高のおいしさ、最良のサービスを提供し、常に感動をお届けすることを約束したメッセージです。
また、企業スローガン『こころつなぐ。笑顔かがやく。』は、スイーツを通して「こころ」と「こころ」をつなぐ架け橋となり、かがやく笑顔を広げたいという想いを表しています。
スイーツには疲れた心を癒し、心を結び、感動や歓びを記憶に刻む力があります。そのようなスイーツで「お客様に笑顔をお届けしたい」、それこそがモロゾフの原点です。モロゾフのスイーツは、「わくわく、ドキドキする感動」を与えるものでありたいと思っております。そのために、新たな驚きを生み出す商品の開発、心を込めたサービスの提供に力を注ぎ、安心・安全かつおいしい商品をタイムリーに供給する効率的な生産・物流体制の構築に努めてまいります。
当社グループを取り巻く環境は、売上面におきましては、少子高齢化による人口減少、地方や郊外百貨店の店舗閉鎖、バレンタインや中元、歳暮などのフォーマルギフトの市場縮小が想定されます。
また、カカオを中心として原材料価格が大幅に上昇しており、電気・ガス等のエネルギーや物流コストも増加し、売上原価率は上昇を続けております。人員面では、賃金の引き上げや人手不足による人件費の上昇が今後も続くものと思われます。一方、生産設備面でも、工場の老朽化対策に加え、生産能力や生産性向上のための建替えや更新のための投資が必要となっております。
このような状況を踏まえて、中長期ビジョンとして「企業価値の向上」「ブランド価値の向上」「社会的価値の向上」を掲げ、2024年1月期から中期経営計画「つなぐ ~next stage 2031~」を進めております。未来につながる経営基盤を築き、安定した収益の確保とサステナビリティの実現を目指しております。
このビジョンを達成するために、①新たなる「成長戦略」の実現、②コスト抑制とさらなる生産性向上、③人材確保と従業員満足度向上、を中長期戦略テーマとして取り組んでまいります。
具体的には、『焼菓子』によって新たな価値と市場を創造し、成長基盤をつくってまいります。生産面では、船橋物流センターの解体した跡地に新たに工場を建設し、現船橋工場から移転を進めるとともに、西神第2工場に耐震補強工事を施し、新たな焼菓子ラインを導入いたします。生産性を高めた生産体制を構築することにより、『成長戦略』を実現させるための基礎を固めてまいります。また、販売面では、直営店や百貨店店舗の効率化促進のための商品開発や店舗設計、商品ディスプレイや陳列方法などを工夫することで、魅力的な店頭の演出に注力してまいります。焼菓子拡大戦略として別ブランドで展開する『ガレット オ ブール』が引き続き好調に推移したことに加え、カスタードの奥深い魅力を楽しむブランド『CUSTA(カスタ)』が多くのお客様からご好評をいただき、2024年10月に銀座三越に2号店をオープンいたしました。さらに、新焼菓子ブランドの出店も計画しており、当社のブランド価値を高めるとともに、新たな売上の獲得につなげてまいります。今後は、「人材の確保」、「従業員満足度向上」を目指した投資と人事制度見直しも順次進めてまいります。
神戸という生誕の地を根幹(ルーツ)としながら、これからも創立100周年に向けて一歩ずつ着実に事業領域を拡充させていきたいと考えております。
今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2025年4月